1月26日は侵略記念日とラム肉 (オーストラリア・デー)

Australian Lamb: Make Lamb, Not Walls

オーストラリアでは、は『Australia Day (オーストラリア・デー)』という日本で言えば建国記念日みたいな祝日になっています。

何故この日かというと、キャプテン・ジェームス・クックがオーストラリアをに発見した後に『First Fleet (ファースト・フリート)』と呼ばれる移民船団がイギリスからオーストラリアに向かって、にSydney Cove (シドニー・コーブ: シドニーのオペラハウスがある場所の直ぐ横)に上陸してイギリスの植民地と宣言した日に由来するそうです。

でも、この日を境に植民地開拓者によるアボリジニー(先住民)の大量虐殺が始まった日でもあり、オーストラリアの暗い過去の始まりでもあります。

は別名、『Invasion Day (侵略記念日)』や『Survival Day (生存記念日)』とも呼ばれ、近年では、この日をオーストラリア・デーとして祝うのはどうなのかといった意見がメディアで取り扱われる様になっています。 (昔はメディアが近年ほど騒いでいなかっただけで、オーストラリア・デーの日付を問題視するデモ行進とかは大昔からあった様です。)


オーストラリア・デーには

シドニー・オリンピックのあった前後だとオーストラリア・デーは単なる休日で、夜にはオーストラリア・デー記念の花火があるので都心部に住んでいればそれを見に行く程度の休日だった気がします。 しかも、当時は「何故がオーストラリア・デーなのか」といった話も別に日常的な話題としては取り上げられていなかったかと。

メルボルンでのの花火は、年末から続いていたビクトリア州の山火事で消火活動をがんばっている消防隊を考慮して中止になりましたが、オーストラリア・デーの花火は今だにこの日のイベントの一つとなっています。

でも最近は、知り合いとかと話していて思うのは、徐々に『オーストラリア・デーにはBBQ』をというのが少しずつ広まっている様に思えます。

個人的に思うのは、大昔にサム・ケコビッチ(Sam Kekovich)という元オージーフットボールの選手がオーストラリア国旗の前で熱く『オーストラリア・デーにはBBQを囲んでチキンではなくてラムを食べるべきだ』と語るラム肉のテレビ広告()があったのですが、この広告が最近のオーストラリア・デーBBQの始まりだったかと思います。


Sam Kekovich (YouTube: The Original Lamb Ad) 2005


CMの内容としては「ベジタリアンとかチキンとか食べてる輩はオーストラリアンらしからぬ」とかアウトな事を言っていますが、あくまでもラム肉の宣伝なのでターゲットとなるベジタリアンではない人にはラム肉の宣伝としてはかなりのインパクトがあったかと思います。

このCMで直ぐ、知り合いの間で『オーストラリア・デーにはBBQでラム肉を』とはならなかったのと、統計を採った訳でもないので証拠もありませんが、オーストラリア国内でもそうはならなかったはずです。 でも、このCMを作ったMLA (Meat and Livestock Austraslia)という団体がこの後も同じ様な路線でラム肉の宣伝を続けているので、それが理由とは言い切れませんが、徐々に『オーストラリア・デーにはBBQ』という考えが広まっている気がします。 (そもそも、だとオーストラリアはまだ夏なので時期的にもBBQには最適なので、祝日にBBQをする単なる言い訳という可能性もありますがw)


オーストラリアらしいとは?

上のCM内でサム・ケコビッチも使っていましたが、オーストラリア英語だと人格やモラルの批判として『Un-Australian (オーストラリア(人)らしくない)』という表現がしばしば登場します。 「募金箱を盗むなんてun-Australianだ」とか「ビールを無駄にするなんてun-Australianだ」とか、時々冗談半分な場合もありますが、訳としては『非道』とか『非常識』といった意味が当てはまります。

でも、逆に『オーストラリア(人)らしい』の定義が物凄くあいまいな気もします。。。 大昔の白豪主義が根強かったオーストラリアであればこの定義は白黒はっきりしていたと思いますが、現在のオーストラリアは多文化共生社会として成長していて、最近日本でも話題に上る様にもなって来た『Inclusiveness (包括性)』を考えると実在する人物を例に指して「この人がオーストラリア人のイメージ」などとも言いにくくなっています。

個人的にも『オーストラリアらしいイメージは?』と聞かれると、昔、オーストラリアのお土産屋さんで売られていた『An Aussi Gentleman』とか『An Aussi Shela』の絵葉書を思い出してしまいます (そのうちリンク切れになるかもしれませんが、検索結果のいくつかを貼っておきます: 👉 #1, #2, #3)。 と言っても、たぶん、旅行とかでオーストラリアの物凄い田舎に行った時にもしかしたら出会えるかもしれない目立って見える白人オーストラリア人のイメージで、映画「クロコダイル・ダンディー」とかテレビ番組の「ラッセル・コイト」に出てくるキャラクターのイメージに被る要素があるだけで、ある意味、偏見というか、コメディーの要素が入っています。

又、ハリウッド映画とかではヒュー・ジャックマン、ニコル・キッドマンとか、ヘンズワース兄弟とか、ジェフリー・ラッシュとかオーストラリア出身の俳優として知名度が高かったりしますが、単に有名なだけで、決してオーストラリアの人口が同じ様な容姿という訳でもなかったり😂😂w

たぶん、『これがオーストラリアらしい』という定義は難しくても、『これはオーストラリアらしくない』と否定するのは簡単なのでしょう。。。


終わりに

シドニーのオーストラリア・デーの花火は新年のカウントダウン同様に決行されるみたいですが、カウントダウンの花火が中止になったメルボルンでは、今年のオーストラリア・デーの花火はまだ中止か決行かはまだ決まっていないそうです ()。

👇今年もMLAがラム肉のキャンペーンでCMを公開しましたが、USの「国境の壁」と先がまだ見えない「コロナによる国境/州境の閉鎖」を強引にこじ付けていろいろとカオスな仕上がりになっています。

今年のラム肉の広告 (YouTube: Australian Lamb: Make Lamb, Not Walls)

壁が崩れた後に女の子が「You did it. United States of Australia.」と言っておじいさんが「いやいや、単なるオーストラリアだよ」と返していますが、そこら辺に隠れたメッセージがあるのかもしれません。。。



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