『食パンの袋を留めるアレ』は市のリサイクルでは扱っていないだとか (オーストラリア)
大昔、『食パンの袋を留めるアレ』の正式な名前は『バッグ・クロージャー (Bag Closures)』という豆知識ネタが日本語圏のインターネットで話題になっていましたが、それ以降でもネット記事のネタとして時々使われているみたいです。 因みに、オーストラリアでは『バッグ・クロージャー』という名前がどれだけ知名度があるかは知りませんが、『ブレッド・タグ (Bread Tag)』とか『ブレッド・クリップ (Bread Clip)』とも呼ばれてます。
食パンの袋を留めるアレ
- デイリーポータルZの付け記事
『食パンとかの“あれ”を作る会社に』 - Pouch(ポーチ)の付け記事
『【豆知識】パンの袋の “アレ” の名前しってる? 映画俳優みたいでなんだか…<以降略>』 - withnewsの付け記事
『「食パン袋とめるアレ」、実は埼玉の名産品でした! 国内は川口だけ』
市のリサイクルの対象外だとか。。
この『食パンの袋を留めるアレ』、プラスチック製なので、♻リサイクルされるのとばかり思っていたら、オーストラリアの行政のリサイクル工場では収集の対象外となっている模様です。
下はメルボルンのあるビクトリア州の市の運営するリサイクル情報のサイト『Know your recycling』の食パンの袋を留めるアレのリサイクル情報ページのスクショですが、現時点 ()ではビクトリア州では行政のリサイクリングごみに混ぜてはいけないと大きく
と記載されています。
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ビクトリア州のブレッド・タグのリサイクル情報のスクショ (『Know your recycling』より) |
最近は行政によって例外もあるみたいですが、オーストラリアの都市部の行政によって収集されるリサイクルごみは、特に選別はせず、全てまとめて収集車によって回収された後、リサイクル工場に運ばれてから種類によって選別されるのが一般的の様です。 又、工場で選別から漏れた物は一般ゴミとして(焼却ではなく)埋め立て廃棄になるので、『食パンの袋を留めるアレ』を行政のリサイクルごみに出しても結果的にはリサイクルされずに一般ごみとして処理される事になります。
でも、❌Noの下には『Bread Tags for Wheelchair』というチャリティー団体が集めているとの情報が掲載されています。
Bread Tags for Wheelchair
団体の名前は『食パンの袋を留めるアレを集めて車椅子を』みたいに訳せるかもしれませんが、元看護士のMary Honeybunさんが創めた南アフリカのチャリティー団体だそうで、2006年以降、ポリスチレン (Polystyrene)製の食パンの袋を留めるアレやボトルのプラスチックキャップを集めてリサイクル業者に提供する事で収益を集めて、経済的に車椅子が必要でも購入できない(たぶん南アフリカ国内の)人達に提供しているそうです。
過去にオーストラリアでは、この団体の存在を知る人々によってブレッド・タグが集められて、南アフリカに送られていた時期もあったみたいですが、現在ではこの団体のオーストラリア版『Aussie Bread Tags for Wheelchair』が南オーストラリア州にあるそうです。 又、オーストラリア国内に多くの回収ステーション(👇地図)が設置されているので、一般の人でも集めたブレッド・タグを最寄りの回収ステーションに持って行けば無料で回収されてこの団体に送られるそうです (そうでない場合は自費で郵送)。
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ブレッド・タグの回収ステーションの分布 (『Aussie Bread Tags for Wheelchair』にあるマップのスクショ) |
南アフリカではZibo Containersという会社が集めた食パンのアレとボトルのプラスチックキャップをリサイクル可能なポリスチレンとして買い取ってくれるみたいですが、残念ながら、オーストラリアには買い取りをしてくれる同様の企業・団体は存在しない様です。 現時点では、南オーストラリア州のTransmutationという会社が、食パンのアレを高温で溶かして新たに器を作って販売をしているみたいです (👉ABC News 2019年7月26付けの記事)。 現時点では売り上げは南アフリカの団体に送金されて、オーストラリアではなく、南アフリカで購入する車椅子の費用になるそうです。
Transmutationのページによると、Precious Plasticがオープンソースで公開しているプラスチックごみ再利用技術を使っているみたいですが、大きな企業が独自の技術でリサイクリングをしているのではなく、地球の環境改善を考える個人が試行錯誤で立ち上げたベンチャー事業といった感じの様です。
新商品「エコ・ロック」
因みに、『バッグ・クロージャ』を開発した会社『クィック・ロック』の新製品情報ページを覗いた処、2020年に『エコ・ロック (Eco-Lok)』という植物ベースのプラスチック「NuPlastiiQ」製のバッグ・クロージャを発表したそうで、二酸化炭素排出量を最大で20%削減する事が出来ると書いてありました。
これまでのポリスチレンに変わって使われる「NuPlastiiQ」は生分解性もあるという事なので、新商品の「エコ・ロック」は脱炭素に向けての一つの進化になると思いますが、これだとポリスチレンではないので、今後この新商品が出回ると、『Bread Tags for Wheelchair』の活動に支障が出るのでは?とも勝手に思ったり。。 (NuPlastiiQ製とポリスチレン製のバッグ・クロージャの違いが簡単に識別できると良いのかもしれませんが。。)
まとめ
これまで個人的には「食パンの袋を留めるアレ」をリサイクル箱に入れて(オーストラリアの)行政のリサイクルこみ収集に出していましたが、これからは専用の容器に貯めて「Aussie Bread Tags for Wheelchair」の回収ステーションに持って行こうと思います (あくまでも自己満足の為にですがw)。
最寄りの回収ステーションが気になるオーストラリア在住の方は『Aussie Bread Tags for Wheelchair』のサイトにあるマップで確認してみて下さい。
- 南アフリカ在住の方用の情報: 『Bread Tags for Wheelchair』本家
- ニュージーランド在住の方用の情報: Facebook『Bread tags for wheelchairs NZ』
- USA在住の方用の情報: 『Danielle Cares for Chairs』、 Facebook『Danielle Cares for Chairs』
PS
一昔、日本で都市伝説とまで疑われて話題になった『プルタブ・アルミ缶回収運動で車椅子を』(👉環公害防止連絡協議会)と似ていますね。
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