オーストラリアの肉食有袋類。。
カンガルーやコアラなどに代表される、雌の下腹部にに『育児嚢 (いくじのう)』という袋のついた哺乳類、『有袋類 (ゆうたいるい Marsupials)』。
オーストラリアの自然に生息する哺乳類の多くがこの有袋類です。
有袋類
長い間、自然の有袋類はオーストラリアだけにしか生息していないのかと勘違いをしていましたが、オーストラリアに生息する有袋類の『ポッサム (Possum)』と同じ様な動物でアメリカ大陸に生息する『オポッサム (Opossum)』も有袋類だそうです。
因みに、ニュージーランドにも「ポッサム」が住み着いていますが、これは人間がオーストラリアから持っていったら繁殖し過ぎてしまった害獣だそうです。
ほとんどの有袋類はコアラの様に草食だったり、カンガルーの様に雑食だったり、ポッサムとかだと小さな虫を食べる昆虫食だったりしますが、肉食 (Carnivores)の有袋類もいます。 絶滅してしまった種も合わせていくつかの肉食の有袋類が確認されているそうですが、現在では2種のみが生存しています。
ティラコレオ (Thylacoleo) [和名: フクロライオン]
サウスオーストラリア州、 Naracoorte Caves国立公園の Victoria Fossil洞窟内展示の『ティラコレオ (Thylacoleo)』 (和名: フクロライオン)の化石 |
既に絶滅してしまった肉食の有袋類が化石で見つかっているらしいのですが、ライオンみたいな『有袋類ライオン(Marsupial Lion)』とも呼ばれる 『ティラコレオ (Thylacoleo)』 (和名: フクロライオン) という有袋類の属もいたそいうです。
現在確認されている肉食有袋類の中では最大級で頭からしっぽまでの長さが150cmほどの大きさにまで成長して、他に外敵のいない、頂点捕食者 (Apex Predator) だったそうです。
オーストラリア北西部のキンバリー地方で見つかったオーストラリアの先住民、アボリジニーの壁画にもティラコレオみたいな動物も描かれているみたいですが、160万年から4万6千年前の間に繁栄していた動物だそうです。
他にも:
- プロプレオプス (Propleopus)
- エカルタデタ (Ekaltadeta ima) [和名: ツヨハオオネズミカンガルー]
といった肉食のカンガルーとみられる有袋類の化石も出土しているみたいです。
タスマニアタイガー (Tasmanian Tiger) [和名: フクロオオカミ]
J.Gould and H.C. Richter, in Mammals of Australia, vol.I, 1841 |
タスマニア州ロンセストン発祥のビール『カスケード (Cascade)』のラベルのデザインにも使われている『タスマニアタイガー (Tasmanian tiger)』。 学名は『フクロオオカミ (Thylacine)』だそうです。 英語名にはタイガー(トラ)、和名にはオオカミと付いていますが、袋を持っていて、れっきとした有袋類で、トラやオオカミの親戚でもないそうです。
西洋文化が入ってくる前はオーストラリア大陸全体に生息していたみたいですが、肉食なため、家畜を守る為に開拓移民によって狩られ続けて、最後はタスマニア島までに生息域は縮んでしまったみたいです。
又、タスマニアタイガーは捕獲しても餌付けが難しく為、飼育が出来ず、絶滅の危機の状態下でも種の保護が難しかったそうです。 近年でも未確認の目撃情報があるみたいですが、最後に生きた個体が確認されたのが1936年で現在では絶滅した種になっています。
タスマニアデビル (Tasmanian Devil) [和名: タスマニアデビル]
ワーナーブラザーズのアニメ『ルーニー・テューンズ』にも同名の悪魔みたいなキャラクターがいますが。。 本物とは全然違いますw
『ベスト・オブ・ザ・タスマニアンデビル』
ようつべ: https://www.youtube.com/watch?v=StG2u5qfFRg (前置きが少し長いので 2:10過ぎ辺りから見ると良いかもしれません。) |
実際の『タスマニアデビル (Tasmanian Devil)』は、一見、黒い子犬にも見えなくもありませんが、強い顎力を持ち、体重が30kg程度までのウォンバットならば捕食したりする肉食動物でもありつつ、ハイエナ同様に「腐肉食動物 (scavenger)」で死んだ物でも食べる森の掃除役みたいな存在でもあるそうです。 世界最大級の肉食有袋類で、和名では『フクログマ』という別名もあるみたいです。
以前はオーストラリア全土に生息していた様ですが、現在は自然のタスマニアデビルはタスマニア州にしか生息しない様です。
現在、デビルの間で、顔に腫瘍が出来て死んでしまう伝染病『Devil Facial Tumor Disease (DFTD) 』の感染が問題になっていますが、治療法もまだ研究中で、健康な個体を隔離して個体数の保護をしているみたいですが、絶滅危惧種 (Endangered Species)に指定されています。
タイガークオル (Tiger Quoll) [和名: オオフクロネコ]
分類上はフクロネコ (Dasyurus) 属のフクロネコ (Dasyurus Maculatus)種だそうです。 昔はオーストラリアの東海岸に生息していたみたいですが、現在ではクイーンズランド州の一部とタスマニア州だけ限られてしまっている様です。
番外編: コアラベアー (Koala Bear 👈誤り)
USA訛りの英語を話す人が良くコアラの事を『Koala Bear (コアラ・ベアー)』と呼ぶことがあるのですが「コアラ熊」っていったいw
オーストラリアの動物園などでスタッフの前で英語で「コアラ・ベアー」と言うと必ずと言って良いほど:
「No. No. Koalas are not bears. They are marsupials.
(いやいや、コアラは熊ではなくて有袋類です。)」
と注意されます。
以前、オーストラリアの動物園でこの話を日本人の友達に日本語で説明をしていた時でも「コアラ・ベアー」の部分だけを聞き取った動物園スタッフが英語で注意してきた事もありました😇😇。
まとめ
コアラが熊でない事は理解出来ます。 でも、上記の「タスマニア・タイガー」とか「タスマニア・デビル」も有袋類で「トラ」とか「悪魔」の類ではないのも。。。 過去に何度かタスマニア・デビルの囲いの前で動物園スタッフに聞こえる様に「タスマニア・デビル」と言ってみましたが注意はされませんでしたw。
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