メルボルン再開へのロードマップ + 大惨事事態

コロナ禍で、から『シャットダウン ステージ3』が再発令されて不要不急の外出が制限されていたメルボルンですが、にはビクトリア州全体に最低でも6週間という事で『大惨事事態 (State of Disaster)』が宣言され、メルボルンのシャットダウンは『ステージ4』へと移行しました。 ステージ4ではステージ3の時よりも不要不急の外出の規制が厳しくなった上に、家から外出する時はマスクの着用が義務付けられ(例外有、罰金有)、午後8時から午前5時までの夜間外出禁止令 (Curfew)も発令されました。

そして大惨事事態が宣言されてから6週間の終わりが近づいたにビクトリア州政府によってシャットダウンから『再開へ向けてののロードマップ(道のり)』が提示されました (👉『Coronavirus (COVID-19) roadmap to reopening』by ビクトリア州政府)。

[追記 ()]

のビクトリア州首相の発表で同日午後11時59分からステップ2に移行する事が発表されました (👉9月27日の州首相の声明)。

また、以前はステップ1からステップ2に移行する時の判断として、過去2週間分のメルボルンでの新規感染者数の平均が30~50という条件がありましたが、この時点で実際の数は22.1人と少なかった為、ステップ2の規制に少し変更が加えられ、また、今後のステップ3と最終ステップへの以降日時の制限は撤回されて、新規感染者の数によって判断される様になりました。

ステップ2の主な変更事項としては:

  • 夜間外出禁止令の廃止 (以降)。
  • 小学生と高校3年生は段階的にオンラインから登校授業に以降。
  • 食品の買い出しに行けるのは1世帯当たり1日1人までという制限の廃止。
  • マスクの着用: フェイスシールド着用時でも要マスク。 スカーフやバンダナはマスクの代用とは認めらない。
  • 集会人数制限違反時の罰則(罰金4957ドル)の施行を強化。

などが挙げられます。


大惨事事態宣言までのメルボルン

オーストラリア国内でのCOVID19新規感染者数増加を受けて、ビクトリア州では、に『シャットダウン ステージ3』が発令され、不要不急の外出が規制されました。 それから2ヶ月後、にやっと『規制緩和のステップ1』に切り替わって、規制の緩和が始まったと思われたメルボルンでしたが 。。。

6月末になるとメルボルン郊外の複数の地域で、第2波と言える急激なCovid-19の流行が広まり、からはメルボルンの一部の地域限定でステージ3のシャットダウンが再発令されましたが、からは対象がメルボルン全域に拡大されました。

なんでも、海外からの帰国者が2週間の隔離期間様に利用していたホテルでのずさんな衛生管理が原因だった様で、新規で確認される感染者のCOVID19ウイルスのゲノム情報が第2波以前に某ホテルに宿泊していた帰国者から採取したウイルスのゲノム情報に一致したそうです。

既に前のステージで、レストランやカフェは持ち帰りかデリバリーのみでの営業、老人ホームへの訪問規制、パブやボーリング場、映画館などの娯楽施設、スポーツジムなど屋内の施設やプールも閉鎖といった規制がありましたが、ステージ3では『Stay Home』とサブタイトルが付いていて、外出の理由が次の4つの場合に制限されました:

  1. 食品と日常品の買い出し
  2. 治療や介護
  3. 運動
  4. 学校や仕事 (リモートが不可能な場合)

加えて、屋外での人の集まりも最高2人までに制限され、公園の遊具や屋外スポーツジムの施設も閉鎖といった規制も付きました。

しかし、それでも1日当たりの新規感染者数は増加傾向が続き、ステージ3が再発令されてから1か月経ったには『大惨事事態 (State of Disaster)』が宣言されました(👉州首相の発表[PDF])。


ビクトリア州の1日当たりに確認されたCOVID19新規感染者数 (~11/Sep/2020)
ビクトリア州の1日当たりに確認されたCOVID19新規感染者数 (~11/Sep/2020)
[元画はwikipediaより]

大惨事事態 (State of Disaster)

ビクトリア州に『State of Disaster』が宣言された後、日本語のSNS上では宣言された事態を「非常事態」と訳していた投稿をいくつか見かけましたが、ビクトリア州には既に『State of Emergency (非常事態)』がに宣言された後ずっと延長され続けています。 今回新たに宣言されたのは「State of Disaster」なので『大惨事事態』と訳すのが無難かと思います。

COVID19の感染流行による『非常事態宣言』下では、保健省が感染対策に大きな権限が生まれて、法改正など無しに保健省の判断で「海外からの帰国者には14日間の自己隔離」や「不要不急の外出制限」を義務化するといった特別命令を出せるみたいです。 特別命令の執行に、警察が増員されたり、軍からも支援の動員があったりもしましたが、非常事態宣言下でも法の執行には特別な権限は無いので、警察や軍も平常時通りの権限での取り締まりになります。

でも、『大惨事事態宣言』下となると、法の執行機関も大きな権限が出せる様で、「マスク着用の拒否」や「移動経歴の黙秘」といった行為にこれまでとは違ったもっと厳格な対応が可能になる様です。 実際にメルボルンで、マスク着用を拒否し続けていた常習犯を逮捕とか、 車両検問所で車の窓を閉め切って質問に答えないドライバーを車の窓を叩き割って拘束という報道もありました。。


現在のメルボルン

大惨事事態宣言がされた後、現在、メルボルンはステージ4のシャットダウン中で、

  • 8PM~5AMの夜間外出禁止令が出ていて、
  • 家の外ではマスク着用の義務化
  • ステージ3同様に外出理由も4つに制限されていますが、各項目、制限が少し厳しくなっています:
    • 食品と日常品の買い出し👈家から5キロ以内の距離で、一番近い店舗に行かないといけない。買い出しに行けるのは1戸当たり、1日1人で1回のみ
    • 治療や介護
    • 運動👈家から5キロ以内の距離で1人当たり、1日1回で最高1時間まで。
    • 学校や仕事 (リモートが不可能な場合)👈仕事は許可される職種のみで、学校はオンライン

現時点では、スーパーや食料品店以外はほとんどのお店が休業中で、多くのレストランやカフェも閉まっています。


メルボルン再開へのロードマップ

に発表されたロードマップは『COVIDノーマル』と呼ばれる「コロナ禍における新しい一般生活」に向けて4ステップの規制緩和が提示されています。

第1ステップ第2ステップ第3ステップ最終ステップCOVIDノーマル

ロードマップにはメルボルン近郊版(PDF)とメルボルンを除く他のビクトリア州の地域版(PDF)がありますが、メルボルン版の内容を抜粋で表にすると次の様になります:

ステップ:
期日
規制
第1ステップ:
から
  • 9PM~5AMの夜間外出禁止
  • 集会は屋外のみで、2人まで
  • 外出は半径5Km以内
  • 仕事での外出は許可証が必要
  • 飲食店は持ち帰りかデリバリーのみの営業
  • 結婚式は人道的に酌量すべき場合のみ、参加は5人まで
  • 葬式の参加は10人まで
  • 州内の移動は許可された目的がある場合のみ
  • 娯楽施設・商業宿泊施設の閉鎖
第2ステップ:
以降、
過去2週間以内のメルボルンでの新規感染者の平均が30~50の場合
  • 9PM~5AMの夜間外出禁止
  • 外出は半径5Km以内
  • 集会は屋外のみで、5人まで
  • 1人暮らしの世帯は特定した他の1人暮らしの1世帯間でお互いに訪れる事が可能 (Single Social Bubble) 世帯の変更は不可
  • 仕事での外出は特定の業種に限定
  • 飲食店は持ち帰りかデリバリーのみの営業
  • 結婚式は人道的に酌量すべき場合のみ、参加は5人まで
  • 葬式の参加は20人まで
  • 州内の移動は許可された目的がある場合のみ
  • 娯楽施設・商業宿泊施設の閉鎖
第3ステップ:
以降、
過去2週間以内の州全体での、新規感染者の平均が5人以下かつ感染経路不明のケースが5人以下の場合
  • 外出時はStay Safe
  • 集会は屋外のみで、10人まで
  • 特定した他の1世帯間での訪問が同じ世帯から5人までなら可能 (Household Bubble) 世帯の変更は不可
  • 飲食店は主に屋外でのテーブルサービスが解禁 (1グループ10人まで、席密度制限有)
  • 結婚式の参加は10人まで
  • 葬式の参加は20人まで
  • 州内の移動は第3ステップの地域間のみ
  • 屋外娯楽施設営業と屋外イベントは許可制
  • 商業宿泊施設の人数制限付き営業
最終ステップ:
以降、
過去2週間以内の州全体の新規感染者が0人の場合
  • 外出時はStay Safe
  • 集会は屋外のみで、50人まで
  • 一般家庭の訪問者は20人まで
  • 飲食店: 屋内は1グループ10客まで、1店舗当たり50客まで。 屋外は席密度制限有。
  • 屋外と屋内娯楽施設の営業可 (人数と密度制限有)
  • 結婚式の参加は50人まで (一般家庭が会場の場合は20人まで)
COVIDノーマル:
過去4週間以内の州全体での新規感染者と、州全体の感染者が0人で、他の洲での感染拡大が懸念されない場合
  • 外出時はStay Safe
  • 集会は特に規制はないが、企画責任者による参加者名簿の保存を推奨
  • 一般家庭の訪問者数に規制はないが、訪問者名簿の保存を推奨
  • 学校は通常開校
  • 飲食店: 顧客名簿の保存
  • 結婚式・葬式の参加者名簿の要保存

少し驚いたのは、オーストラリアの首相、スコットモリソンの反応で、「シドニーに当てはめたら今のシドニーをロックダウンしないといけなくなる」と批判的でした(👉の首相の会見 [SBS News9News])。 それに対してビクトリア州の州首相は、「現状ではシドニーでは大規模な市中感染(地域感染)はないのでシドニーに当てはめるのはフェア―ではない」という反論をしていました (👉[news.com.au9News])。。

早いうちから首相と各州首相からなるナショナル・キャビネットを立ち上げてCOVID19感染流行対策にあたってきたオーストラリアですが、最近になって首相と一部の州首相との意見・理解の食い違いが少し表に出て来てる様な気がします。。 (個人的にはビクトリア州首相の方が筋が通っているとは思いますが。)


終わりに

オーストラリアの都市で唯一、 COVID19感染者数が減らず長い期間ロックダウンになっているメルボルンですが、一部ではロックダウン反対デモを呼びかける様な動きもあったりします。 そんな事をしてメルボルンだけ感染者数増えたら他の州からは村八分にされるのは想像出来るのでそういう訳の判らない人達が増える前にどうにか再開のステップが順調に進んでほしいものです。



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