オーストラリア国内での政府の対応 (COVID-19)

オーストラリアには6つの州:

  • クイーンズランド (QLD)州
  • ニュー・サウス・ウエールズ (NSW)州
  • ビクトリア州 (VIC)
  • タスマニア (TAS)州
  • サウス・オーストラリア (SA)州
  • ウエスタン・オーストラリア (WA)州

があります。 この他にウルルのあるノーザン・テリトリー(NT)、と首都のキャンベラがある首都特別地域(ACT)など(*)がありますが、NTとACTは「州」ではなく、「テリトリー(地域)」として区別されています。

(*) オーストラリアのテリトリーは全部で10個あるみたいですが、オーストラリア本土にあるテリトリーは3つで、NT、ACTの他にもう一つ、「ジャーバス・ベイ・テリトリー (Jervis Bay Territory)」がキャンベラから東に約100kmの所でオーストラリアの東海岸線上にあります。 シドニーからだと南に約100km、ウーロンゴング(Woollongong)よりも南にあるナーラ(Nowra)の少し南にある半島の一部になります。

ほとんどが国立公園になっているみたいですが、首都があるACTが内陸にあって海へのアクセスがないという理由で第一次世界大戦中だったにジャーバス・ベイ・テリトリーが作られたみたいです。


オーストラリア連邦 (Commonwealth of Australia)

オーストラリアはこれらの州とテリトリーの連邦国で、合衆国と同じ様に個別の州とテリトリーがまとまって一つの国になっているので、オーストラリアの首相は各州の取りまとめ役といった感じになります。 テリトリーは州とは違って国の管理下になるみたいですが、現在では人口の多いNTの行政に限ってはほぼ州と同じ様な管理体制となっているそうです。

州は国によって統一されているという事でもないので、国レベルで定めた法律でも州レベルでは反論する事も出来るみたいなのですが、逆を言えば、6つの州が同意すれば国としては素早く動く事が出来る場合が多い模様です。


ナショナル・キャビネット (National Cabinet)

のCOVID-19のパンデミックに関しては、オーストラリアだと以降から確認されたCOVID-19感染者の一日当たりの増加率が総数の20%を超える様になったのですが、の金曜日にオーストラリアの首相が、首相、各州首相(State Premier)とテリトリー首相(Chief Minister)からなる「National Cabinet (ナショナル・キャビネット)」というCOVID-19対策専用の内閣委員会を新設して(付、首相の声明)次々と対応策を打ち出しています。

日本だと自民党が過半数を握っているので、国というか自民党が打ち出すCOVID-19に関する対策には野党がいろいろな批判を発信している様に思えます。 でも、オーストラリアの場合は、ナショナル・キャビネットのメンバー全員(州首相とテリトリー首相、首相)が必ずしも同じ党という訳でもなく、自由党と労働党の2大政党の集まりになっているので国が出すCOVID-19に関する対策に関しては違う政党による批判は今のところそこまでないみたい。。と思っていたら、昨日あたりから一部の野党からの批判が報道されていた様な。。


COVID-19流行による非常事態宣言(ビクトリア州)

ビクトリア州ではから4週間の非常事態宣言が出ていて (ビクトリア州のページ) (付け州首相のメディアリリース [PDF])、この期間は州議会を通さなくても州首相や保健省長官が権限の発動が出来るみたいです。

オーストラリアでは16日以降24日までの間に確認された感染数の総数の1日当たりの増加が25%前後でその間は、ほぼ毎日ナショナル・キャビネットの会議があった様で、徐々に感染対策が強化されていきました。

政府の出した対策をビクトリア州を例にざっくりとリストすると:

日付 豪州で確認された感染者数 (増加率)
- の首相の発表に沿って、よりまでビクトリア州で非常事態宣言発令 (州首相のメディアリリース) (州首相のメディアリリース):
  • 屋外では500人以上の集まるイベント・集会を禁止(一部例外あり)。
  • 行政の管理下の図書館や美術館は閉館。
  • 帰国者を含む海外からの入国者は宿泊施設に到着後に2週間の自主隔離を要請 (罰則あり)。
376 (+26%)
453 (+20%)
- 17:00より: 屋外では500人以上に加えて、屋内では100人以上の集まるイベント・集会を禁止(一部例外あり)。 (州首相の声明) (州首相の声明 [PDF])
- 国が人的バイオセキュリティ緊急事態(Human Biosecurity Emergency)を宣言
566 (+25%)
- 20日午後9時以降よりオーストラリア国籍・永住権保持者以外の入国を禁止(一部例外あり)。 海外から入国したオーストラリア国民・永住者への2週間の自主隔離要請は継続。 (首相の声明) 708 (+25%)
875 (+24%)
シドニーのボンダイ・ビーチに人が大勢集まって炎上
1071 (+22%)
- 48時間中にビクトリア州内で必要のない業務を停止させる予定をナショナル・キャビネットで発表する事を表明。 (州首相の声明) (州首相の声明 [PDF]) 1352 (+26%)
- COVID-19対策として警察官500人の警ら班を設置 (入国者の自主隔離のチェックや大人数の集まりの取り締まりにあたる)。
- 正午から必須でない業務停止命令(Shutdown of non-essential activity)のステージ 1を施行:
  • フードコート・カフェはデリバリーと持ち帰りのみに限定。
  • カジノ、パブ(酒場)、クラブなどの営業停止。
  • ジムと室内スポーツセンターの閉鎖。
  • 老人ホームへの面会規制。 など
(州首相の声明 州首相の声明22日の首相の声明)
1716 (+27%)
- 26日0時から必須でない業務停止命令のステージ 2を施行と発表:
  • オーストラリアの国籍・永住権保持者のオーストラリアからの出国を禁止 (Do not travel BAN)。
  • 不要不急の外出の自粛を要請
  • 結婚式は最高5人、葬儀は最高10人までに制限。
  • ネイル・脱毛や入れ墨サロンなどの閉鎖。
  • 床屋・美容室は一人あたり最高30分まで (... 短すぎると26日に撤回)。 など
(首相の声明)
2146 (+25%)
入国者を規制し始めて9日後に
1日当たりの増加率が減少し始める👉
2431 (+13%)
[ステージ 2施行] 2805 (+15%)
メルボルンで最高気温が久しぶりに25℃まで上がり、セントキルダ・ビーチに人が集まって炎上。

- 29日(日)午前0時以降に海外からの帰国者は強制的に到着地のホテルで2週間自己隔離。到着者のホテルまでの移動は陸軍が担当。 (州首相の声明) (州首相の声明 [PDF])
3179 (+13%)
3639 (+14%)
3985 (+9.5%)
- 31日午前0時から必須でない業務停止命令のステージ 3を施行と発表:
  • (1)食料・必需品の調達、(2)医療や介護、 (3)運動、(4)仕事・教育(学校)の4つの理由以外での外出を禁止
  • 屋外・屋内の集まりは最高2人までに限定 (但し、同じ家に住む人間は数えない)。
  • 公園の遊具やスケートパークの閉鎖。
(州首相の声明) (州首相の声明)
3985 (+9.5%)
[ステージ 3施行]4560 (+7.3%)
[感染者数はWikipediaのページより引用👆]

確認された感染者の数から見る、あくまでも個人的な見解ですが、から海外からの入国者を制限する事で1日あたりの増加率が25%増だったのが以降には10%前後に減少してオーストラリアでの感染の爆発的なピークは現時点では回避出来たのだと思います。

3月のオーストラリアで新しく確認された感染者の一日当たりの数は次の様になっていて、以降は1日当たり300~400人の増加に留まっています:

1日当たりの新たに確認されたCOVID-19感染者数 (オーストラリア)
オーストラリアで新たに確認されたCOVID-19感染者数 (Wikipediaのページより引用)

まとめ

現在時点のオーストラリアでは、必須でない業務停止命令のステージ3 (Shutdown of non-essential activity stage 3) が出ていて、不要不急の外出が出来ないロックダウン状態になっています。

ここ数日のニュースを見ているとオーストラリア国内での感染者数の増加が増えていて、NSW州やVIC州では感染経路が不明な感染もいくつかある模様です。 加えて、ニュースで感染の確認が報道される頃には実際に感染した日から5~7日間は経っているので、現時点ではもっとシビアな状態になっている可能性が高いので、現在のステージ3の規制だと2人以上の集まりは禁止になるという一般生活に影響するかなり厳しい命令になっていますが、このまま感染を拡大させずに、感染の終息を早める為には仕方がない事だとは個人的には思っています。



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