不要不急の外出とロックダウンとソーシャル・ディスタンシング

オーストラリアではに不要不急の外出の禁止命令が出て事実上のロックダウン状態になってから2週間ちょっとが過ぎましたが、ここ数日間、オーストラリア国内で確認されたCOVID-19感染者の増加も一日当たり100人以下に減少してオーストラリア国内においては爆発的な感染増加の第1波はどうにか避けられたみたいです。

でも、現時点ではこれで禁止命令を緩めれるという状態でもなく、最低でも6ヶ月はロックダウンを続けなくてはいけないかもしれないという専門家の意見もあるみたいです。 といっても、ロックダウンをこのまま6ヶ月も続けるというのも国民の精神面でも現実的ではないのでオーストラリア政府としてはどうにか解決策を見つけたいという状態だそうです。。。


オーストラリアでの感染予防策

、COVID-19感染防止策としてオーストラリア政府が主に呼びかけているのは:

  • うがいと20秒以上の手洗い
  • 咳・くしゃみエチケット
  • 他の人の1.5メートル以上のソーシャル・ディスタンシング(*)

プラスで「健康であればマスク(特にN95)の必要はない」。

最初の2点は日本でも言われていますが、それ以降は日本で良く言われている予防策とは違っています。

(*) 州によって違うかもしれませんが、ビクトリア州ではソーシャル・ディスタンシングを守っていない場合は最高$20,000の罰金 (約140万円@$1=70円)が科せられる場合もあるみたいです。(👉dhhsVIC.GOV.AU)


ソーシャル・ディスタンシング (Social Distancing)

日本語だと『ソーシャルディスタンス (Social Distsance)』と書かれる場合もある様なのと、「社会(的)距離」とも訳されるみたいですが、英語の『Social Distsance』の意味は「知らない人やグループとの距離」という意味になります。 物理的な距離も含めば心理的な距離や社交場の距離として使われる場合もある様ですが、あくまでも距離の事で、『Social Distancing』の意味する「他の人から特定の距離を保つ」という意味はありません。

ソーシャル・ディスタンシング (Social Distancing) by オーストラリア政府
オーストラリア政府のツィートより

COVID-19予防対策としてオーストラリア政府は他の人から1.5メートル以上のソーシャル・ディスタンスを取ってソーシャル・ディスタンシングをする様にと指導しています。 要は他の人からの距離を取る事でウイルスの飛沫感染の可能性を低くするという事で、うがいや手洗いなどと合わせれば人から人への感染を効果的に減らせるという事でしょう。

このソーシャル・ディスタンシング、国によって推奨する距離が違う様で、シンガポールでは1メートルUKでは2メートルの距離が呼びかけられている様です。 咳やくしゃみの飛沫が飛ぶ距離が国によって違うのではなく😅。。。各国で国民性や文化、習慣、人口密度などによって実施可能な距離が違ってくるのかと思われます。

なにぶん、去年末に発見されたばかりのCOVID-19ウイルスなので、まだ沢山の事が解っていない訳で、どの国が推奨する距離がCOVID-19の感染予防に効果的なのかは今の時点ではまだ誰も知らないはずですが、COVID-19のパンデミックが各国で終息した後にどの距離が効果があったのかがの結果が出るのでしょう。

スーパーのレジ待ちで立つ位置 (X)

日本だと、厚生労働省は「ソーシャル・ディスタンシング」ではなく『3つの密(3)を避けましょう!』と呼び掛けていますが果たしてこれはどうなのでしょう?


日本のノー3蜜

3つの密を避けましょう!
Avoid the "Three Cs"!
日本語版
英語版

日本の厚生労働省の「3密」は (👉PDFチラシ):

  • 密閉: 換気の悪い閉空間
  • 密集: 多くの人の集する場所
  • 密接: 近距離での接な会話

この3密、英語だと:

  • Closed space (密閉)
  • Crowded places (密集)
  • Close-contact settings (密接)

と頭文字から「Three Cs (3つのC)」と訳されるみたいです(👉英語版PDFチラシ)。

COVID-19パンデミック前の日本の首都圏での人口密度や通勤ラッシュ時の電車の乗車率などを考慮すると1メートルや2メートルのソーシャル・ディスタンシングは導入しにくいのかもしれませんが、厚生労働省の3密だと人との距離に具体的な数字がないのでどこからが密なのかというのは各個人で差が出てしまう気もします。

オーストラリアから日本に帰国した人が空港で「入国時の健康チェックの係官の距離が近すぎて」などとツィートしていたのを先日みかけたのですが、オーストラリアで1.5メートルのソーシャル・ディスタンシングを守っていると日本の3密ではそう感じてしまうのでしょうか?

「ソーシャル・ディスタンス」という言葉を使っている日本の行政や企業もあるみたいですが、現在日本に住んでいないので日本国内での巷の人と人の距離がどうなっているのかは良く判りませんが、厚生労働省の3密で適切なメッセージが伝わっている事を祈ります。


マスクの着用

アジアの国々ではとにかくマスクを着けて感染予防という感じだと思いますが、オーストラリア政府はうがいやソーシャル・ディスタンスなどの上記の3点の実行をしっかり守っている限り、健康であればマスクを着用する必要は無いと言っています。

加えて、医療従事者でなければサージカルマスクとかN95マスクを使う必要がなく、一般人がそれらのマスクを買い占めてしまうと、医療従事者に行き渡らなくなるので止めてほしいともオーストラリア政府の最高医療責任者(Chief Medial Officer)のProf. Brendan Murphy(ブレンダン・マーフィー教授)が記者会見などで頻繁に語っていました。 と、聞いた記憶があったのですが、症状がある感染者は他の人にうつさない為にもサージカルマスクの着用を推奨するオーストラリア政府のパンフレットもありました(👉URL)。

そもそも、N95マスクはオーストラリア国内では生産していないみたいなので、100%輸入に頼っているのと国内の備蓄数も限られている様です。 パンデミックとなれば数か月は続くのが普通らしいので、無制限のサージカルマスクやN95マスクがあれば一般人が毎日使い捨てで使っても問題が無いみたいですが、数に限りがあるので感染者の治療をする医療従事者の手元に届かないと医療崩壊が起こりえないという事らしいです。

個人的な意見としては、COVID-19も含む風邪のウイルスは粘膜を通して感染するので、ウイルスの侵入を防ぐN95マスクなりサージカルマスクだけで鼻と口を防御をしても、シールドやゴーグルも併用して目も保護しないと予防策としては中途半端だと思います。。

といっても、これは健康な人の場合の話で、過去の記者会見で記者の質問にマーフィー教授が「症状がある人は普通のマスクをしても良いとは思うが、意味が無いのでサージカルマスクやN95マスクは使わない様に」という事を言っていた覚えがあります。

現時点でオーストラリアではCOVID-19の陽性結果が出た時点で 症状があれば入院になって、無症状者の場合は自己隔離(違反した場合は罰則あり) 入院になって、自宅療養などという事はなく、「感染してもマスクを着けて人にうつさない様に生活」とかでもなく、「陽性なら入院して一般社会から隔離」という対処をしているので、症状があるCOVID-19感染者が意図的に飛沫感染を広げるという事がなければ、ソーシャル・ディスタンスを守って、うがいと手洗いでマスク無しでも十分な効果があるという考えなのでしょう。 (今後、もしも、大きな感染拡大があった場合どういった対処をとるかは判りませんが。。。)

日本では花粉症対策とか一般風邪やインフルエンザ対策でもともとマスクの需要が多い国の一つなのでオーストラリア政府が言っているみたいな事は言えないとは思いますが、トイレットパーパーの買い占めと同じ様に個人による不安からのサージカルマスクやN95マスク買い占めで医療崩壊を招きかねないというのもなんとも皮肉な様な。。。

オーストラリアでは健康であればマスクは必要ないと言われていますが、SNSの在豪日本人のコミュニティーとかでは手持ちのマスクを高額で売りさばこうという投稿を何件も見かけましたが、どこにいてもセコイ人は必死なのだなと。。。思いましたが、とあるコミュニティー(**)で、日本で布マスクを着用を呼び掛けるメッセージを引用して何故か「N95マスクがあるので1枚$15で売ります」という流れに持っていくオーストラリア在住の方の投稿がありましたが、複数の「いいね」がついて現在でも投稿は削除されずに残っているのでそういった投稿が許されてしまうのも残念な感じがしました。

因みに、現時点で、オーストラリアでは転売を取り締まる法律は特になく、ビクトリア州ではトイレットペーパーや医療用マスクを個人での高価転売(Price Gauging)であれば問題はなく、買う側の判断となっている様です。

(**) オーストラリアのとある都市に住む日本人の支援コミュで、売ります/買いますといったコミュではありません。


おわりに

まだ先の見えない状態で、オーストラリアでも感染増加の第2波が起こらないとも限らないので、どうにか乗り切ってもらいたいかと。。。



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