『COVIDSafe』 オーストラリアの濃厚接触者追跡アプリのその後
日本の厚生労働省の新型コロナウイルス接触確認アプリ『COCOA』のオーストラリア版と言える『COVIDSafe app』ですが、のリリース以降、特にこれといった結果を出しきれていないみたいで、クリスマス前に大改良を加えられたバージョンにアップデートされるみたいです。。 (📃のメディアリリース「A stronger COVIDSafe app for Australians」)
COVIDSafeアプリの成果??
COVID-19ウイルスは人から人への感染力が強く、現時点ではまだ効果的な治療法やワクチンがまだ確立されておらず、死亡率もゼロではない為、爆発的な流行を抑えるのには感染者の隔離との濃厚接触者の把握が重要になります。
その把握に必要な追跡調査のツールとしてオーストラリア政府は、シンガポール政府が開発した濃厚接触者追跡アプリにも使われたオープンソースの『BlueTrace』というブルートゥースを使う検知技術を元にして、『COVIDSafe』というiPhoneとAndroid版の濃厚接触者追跡アプリを開発して、に公開しました (👉関連記事『 オーストラリアのCOVIDSafe携帯アプリ』)。
公開当時は数日間で200万のダウンロードがあって良好なスタートを切ったみたいですが、半年過ぎたの時点ではアプリの登録数は700万+止まりで、現時点でも効果的な追跡に最低でも必要と言われている人口の40%をカバーする登録数には達していないみたいです (のオーストラリアの国勢調査の結果では国内の人口は2340万人だったので、その40%と言うと1000万人近くという数になります)。 また、このアプリを使って確認された濃厚接触者の総数は80人で、その内の17人(約21%)は濃厚接触者追跡調査チームの聞き取りでは浮上せず、アプリのおかげで特定出来た人数だそうです (👉📃Brisbane times、📃ABC News)。。。
17人という数字は少なく思えますが、アプリが公開された4月末の時点ではほとんどの州で第1波の感染拡大は終息していて、その後のオーストラリア国内では、第2波の感染拡大で1800人ほどの市中感染者が確認されたビクトリア州を除いては市中感染者数がそこまで多くないのと、第2波中のビクトリア州ではアプリを使わずに調査チームを増員して感染経路の確認と濃厚接触者の追跡が行われたそうです。
ビクトリア州では初期段階でアプリから得られた情報が全て、調査チームが手作業で集めた情報に含まれていて、アプリだけが特定出来た濃厚接触者はゼロだった様です (📃The New Daily、📃ABC News)。 その為、一時的にアプリには頼らず、確実な手作業に力を入れるという方針になったそうです。 現時点ではアプリからの情報も使っているそうですが、ビクトリア州内でアプリからの情報で濃厚接触者が見つかったというニュースは見つけられませんでした。
当初公開されたアプリにはiOSの省電力機能の仕様が理由でiPhoneではアプリがバックグラウンドで正常に動作しないなどといういくつかの不都合があった様で、(開発元のテスト不足/不備が原因なのかと想像しますが、) 第2波下のビクトリア州では結果を出す事が出来なかったのかもしれません。。。😇😇
COVIDSafeのアップデート
予定されているアップデートでは、これまでバージョンでの探知技術のプロトコルに使われていた『BlueTrace』に変わって、VMWare社の『Herald (ヘラルド)』というプロトコルを使った仕様になるそうです。
最近ではAppleとGoogleが共同で開発した暴露追跡API『Exposure Notification』を使って、独自の接触者追跡アプリを開発する国が多いみたいですが、オーストラリア政府は今回もAppleとGoogleの暴露追跡API (以降「AGEN」と短縮)は対応するスマートフォンがAndroidで 6.0 (Marshmallow)以降、iOSで 13.5以降などという制限があるので採用しなかった模様です。
COVIDSafeのアプリが公開された当時は、AGENはまだ公開されていませんでしたが、AGENが公開された後にオーストラリア政府の保健省が「なぜOSベースのAGENに更新しないのか?」といった記者の問いに対して「対応機種が比較的新しいものに限定されるから」の様に回答していたのを覚えています。 今回のHeraldプロトコルの採用にしてもネット上では「専門家」という肩書を付けた人からいろいろと批判が上がっているみたいですが、新バージョンのアプリが正常に機能すれば問題は無いはずなので、予定されているアップデート後のアプリの成果を見守るしかない様な気がします。
日本に住んでいる人からと「なぜ新しい機種に変更しないの?」という疑問が出てくるかもしれませんが、オーストラリアではそこまで新しい物に流される消費者文化が定着していない印象で実家住みの10~20代の消費者を除いてはそこまで新機種の発表毎に買い替えにはそこまで熱心でない気がします。 それよりも「まだ使える」というのを理由に使い続けるユーザーが意外と多い様な気がします (あくまでの個人的な知り合いから得た印象で、アンケートなどに基づく情報ではありませんw)。
スマホ以外でも、高校生の時にオーストラリアに来たばかりの時には街中で色の違うパネルを付けた20年前とかの古い車が走っていたのを見かけた事もあって (メルボルン市内だと最近は見かけませんが)、 日本と比べると車の見た目はそこまで気にしないのかと感じた覚えもあります。 因みに、オーストラリアでは中古車が日本と比べるとかなりの割高価格で取引されているので、中古車でもそれなりの需要があるという事だと思います。
又、オーストラリアでは未だに一般家庭用向けの光ケーブルのインターネットが普及していませんが、これは、まだ光ケーブル網が確立していないオーストラリアに導入してしまうと、人口密度の高い都市部と人口の少ない地方とでは普及に必要な費用と時間に大きな差が出る為、都市部と地方で大きな格差が生まれてしまうというのを理由に、オーストラリア政府は光ケーブルではなく、既にある銅線を使った技術で地方と格差が出ない様にNBNという時代遅れのインターネット網を確立させたという話も聞いた事があります。。。
終わりに
「AGEN」ではなく古い携帯にも対応した「Herald」を選択したのが正解だったかどうかはいずれ明らかになると思いますが、 そもそも、携帯電を持っていないオーストラリアの知り合いもいるので、接触者追跡アプリが全ての解決策にはならず、アプリを正しく使っている人口からは濃厚接触者を素早く見つけられるという事で、場合によっては濃厚接触者追跡調査チームの活躍がまだまだ必要という事なのでしょうか?😕😕
追記 (): COVIDSafe バージョン2.0
にHeraldプロトコル対応のアンドロイド版COVIDSafe v2.0がリリースされていました。
にシドニー北部で市中感染と思われる新規のCOVID19感染者2名が確認されてから4日が経ちましたが、 (📃7 news、📃 macquarie port news)、現時点ではシドニーでCOVID-19感染クラスターが広域で確認されてシドニーの北部が水曜日まではロックダウン、NSW州から他の州へは14日間の自己隔離をしないと移動出来ないという状態になっています。。 (📃ABC news、📃ABC news)
NSW州の保健省の発表によると流行しているウイルスのゲノム情報からすると12月1日に帰国した人が海外から持ち込んだ可能性が高いらしいですが、そこからどうシドニー北部に感染が広まったかは解明されていないそうです。
新しいバージョンのアプリが一般に浸透するのには時間が掛かるので、有効な追跡結果が直ぐ得られる可能性は低いと思いますが、感染拡大のタイミングがもっと遅かったら新しいバージョンの成果が発揮出来たのかも。。
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